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櫂くんがバレンタインチョコを貰ったら。(ヴァンガード二次創作)

DSC_0472


※ヴァンガードの二次創作小説です
※一部漫画の設定をもってきています
※pixivに投稿しました、ブログレイアウトでは読みにくい方はこちらからどうぞ
「櫂くんがバレンタインチョコを貰ったら。」/「とらこ」の小説 [pixiv]






 ねずみ色の空。
 葉が落ちてすっかり寂しくなってしまった中庭の木々。
 その木の下にかすかに残る、溶けかけの雪。
 立春を過ぎてだいぶ日が延びたとはいえ、教室のガラス窓を通して見る景色はまだまだ冬のそれであるようだ。


 櫂トシキは窓際の席でその色の無い世界をぼんやりと眺めていた。
 只今の時間は1時間目終了後の休み時間。他のクラスメイト達がいくつかのグループに分かれて賑やかに談笑したり、連れだって手洗い場に行ったり・・・・・・と、それぞれ何かしらの行動をしている中、何をするでもなく肘をついて無表情のまま外を眺めているその姿からは、話しかけるのを躊躇わせる雰囲気が醸し出されている。


「・・・・・・」


 灰色一色であったはずの櫂の視界の端に鮮やかな色がちらついた。顔の向きはそのままに視線だけをついとそちらにやると、そこには薄桃色の上に小花と猫の模様が踊るファンシーな彩りの小さな紙袋が一つ。視線はそのまま紙袋の持ち手から上に辿り、一人の金髪の男へと行き着いた。その男は何がおかしいのか、口元に笑みを浮かべている。


「・・・・・・なんのつもりだ、三和」

「ん?俺からのバレンタインプレゼントーってね」


 三和と呼ばれた男は歌でも歌うかのように楽しげに言うと 櫂の一つ前の席の椅子を引いて自然な様子で腰をおろした。ここは三和本人の席では無いのだが、気にしていないらしい。ついでに言うと、三和と向かい合っている男はどう贔屓目に見ても不機嫌としかいいようのない表情をしているのだが、それも全く気にしていないらしい。

 三和が腰を下ろして2人の目線の高さが同じになると、櫂は肘をつくポーズを解き、浅く腰掛けるように座り直した。


「・・・・・・つまらない冗談はよせ」

「んな怒るなって」


 表情を全く変えずに低い声で呟く櫂を見ると、さすがの三和も苦笑するしかない。
 そしてやおら持っていた紙袋を机の上に置き、櫂の手元へと押しやって、「ほい。俺からじゃなくて、俺のねーちゃんからのプレゼント」と、贈り主を明かすのだった。




「・・・・・・"ねーちゃん"?」


 思わぬ単語が登場したためか、櫂は不機嫌そうな表情はそのままに三和の顔をじっと見つめた。
 そんな櫂とは対照的に、三和はニカッという文字が似合いそうな笑顔を浮かべている。


「ほら、覚えてねぇか?小学生の頃、飯時まで外で遊んでたりするとよく『ご飯だよー!』って呼びにきてた、あれがねーちゃん。結構恥ずかしかったんだよなぁ~。櫂がうちに遊びに来たときとか、何回か顔合わせてると思うぜ」

「・・・・・・ふん」



 櫂のつれない反応からは姉のことを覚えているのかどうか判断できないが、三和はそれも承知といった風に言葉を続ける。


「ちょっと前にねーちゃんに、『そういえば今櫂と同じクラスなんだ』ってポロっと言ったらえらく懐かしそうにしててさぁ。で、今日バレンタインだろ、ねーちゃんからチョコもらったんだけど、なぜかお前の分も一緒に渡されて。せっかくだから櫂くんにもあげてーだってさ」



 まぁ義理チョコらしいけどなー、と言いながら紙袋に視線を移すと、櫂もそれにつられて手元にある袋を見た。

 小花柄。袋についたリボン。甘い匂い。
 男2人がこれを挟んで会話しているのは、見る人が見ればギョッとする光景かもしれない。


 三和の話が終わった後も大した反応を見せない櫂であったが、突き返さないところを見ると別に嫌がっているわけではないらしい。三和はそう判断して「・・・で、お前これどうすんの?ずっと出しっぱ?」と、のんびりした口調で問いかけた。



 机の上には可愛らしい柄の小さな紙袋。この2月14日という日にそんな紙袋を机の上に置いているのは、つまりはそういうことだ。自慢もいいところだ。


 そのぐらいのことはさすがの櫂にも理解できるようで、一度教室全体を見回した後、緩慢な動作で学生鞄の口を開け、紙袋をすべりこませる。そしてまた三和の方に向き直って「ありがたく貰っておく」と抑揚なく呟いた。


 こんな時でも普段の調子を崩さない親友の姿におかしみを感じながら、三和は「あぁ」と答えた。と、その直後、普段の櫂からは予想できない言葉が続いたので、思わず聞き返してしまう。


「え?櫂、お前今なんて?」
「ホワイトデー。お返しをする日があるんだろう」


 櫂はそこでまた肘をついて窓の外を見る体勢になり、「それには期待するな、と伝えておいてくれ」と言ったきり黙ってしまった。


 思いがけない言葉にしばしあっけにとられたが、そのうち櫂なりに気を使っているのだろうということに思い至り、思わず笑いがこぼれてしまう。授業開始のベルが鳴ったので、三和は本来の席の持ち主にすれ違いざまにお礼を言いつつ、自分の席へと戻った。


 そもそもねーちゃんはハナからお返しなんて期待してないだろうからそんなこと気にしなくてもいいのになぁ、櫂は意外とそういうところマメだよなぁ。
 そんなことを考えながら席につく三和であった。







 そして一ヶ月後のある日の放課後。


「えーっと、櫂? これは・・・・・・」
「見ての通り、ただの菓子だが」
「いやいや"ただの"って・・・・・・かなり手間かかってねぇかこれ!?」


 机の上には、小さめの白い紙箱が一つ。箱のフタ部分、中心付近はクリア素材になっており、そこから中に入っているものが確認できる。三和は上から箱の中をのぞき込みながら、呆れ半分驚き半分といった声色で呟いた。

「ていうかお前、期待するなって・・・・・・お返しはしないって意味じゃなかったのかよ」
「いや、たいしたものは渡せないから『期待するな』と言っておいただけだ。もし気に入らないようだったら、三和、お前にやる」

 いつものペースを崩さず淡々と語る櫂の姿を見れば、このプレゼントには義理以上の気持ちが込められているわけではないということが明らかだった。三和はそれ以上突っ込んだ話をすることを諦め、「ん、んじゃ渡しとくわ・・・・・・」と言いながら紙箱を手元に引き寄せた。


「これがたいしたものじゃないなんて、お前どんだけ料理うまいんだよ・・・・・・」

 箱の中の小振りなチョコレートケーキを見ながらそうぼやいても、当の櫂本人は表情一つ変えず肩をすくめてみせるだけだった。











知り合いからのチョコなら意外とすんなり受け取るかも・・・とイメージして書いてみました、バレンタイン櫂くんです。三和くんのお姉さんはきっとフレンドリーな方だと思います、なんたってあの三和くんの家族ですからね笑

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